ピアノレッスンを楽しくする親の関わり方とは?
「ピアノの練習、今日はもうやったの?」「また間違えてるよ、ちゃんと見てごらん!」
そんな言葉をつい口にしてしまい、後から反省する…。お子さんのピアノレッスンに関わる保護者の方の中には、こうした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ピアノを学ぶ子どもにとって、親の存在はとても大きな影響を持っています。楽しく続けられるかどうか、途中で挫折してしまうかどうか。その分かれ道には、日々の親の関わり方が深く関係しているのです。
本記事では、子どもがピアノレッスンを前向きに楽しめるようになるために、親としてどのようにサポートすれば良いのか、具体的なポイントをお伝えします。

1. 「練習しなさい」ではなく「聴かせてくれる?」に変えてみる
ピアノの練習は、地道で時間もかかります。大人から見ると「練習しなきゃ上達しないのに、なんでやらないの?」と感じるかもしれません。しかし、子どもにとっては“義務”に感じると、どんどんやる気がなくなってしまいます。
そんな時こそ、声のかけ方を工夫してみましょう。
たとえば、
「練習した?」ではなく、「今日の曲、聴かせてくれる?」 「また間違えてるよ」ではなく、「その部分、昨日より上手になったね!」
こんなふうに、親が“聴き手”や“応援団”の立場になることで、子どもは「もっと弾いて聴かせたい」「褒めてもらいたい」と感じ、自然とピアノに向かうようになります。
2. 完璧を求めず、小さな成長に気づく
子どもの演奏には、当然ながらミスやテンポのズレがあります。大人の耳からすると気になる点もあるかもしれませんが、それをいちいち指摘してしまうと、子どもは「自信が持てない」「やっても意味がない」と感じてしまいます。
大切なのは、成長のプロセスに目を向けることです。
たとえば、
「昨日は止まっちゃってたところ、今日は通して弾けたね」 「音が前よりもしっかり出るようになったね」
というように、“できるようになったこと”に焦点を当てて伝えることで、子どもは前向きな気持ちになり、「また頑張ろう」と思えるようになります。
3. 練習を「生活の一部」にする工夫
「時間がなくて練習できなかった」という日が続くと、親もイライラしがちです。しかし、無理に練習の時間を押し込むと、子どもにとってはストレスになります。
そこでおすすめなのが、練習を“特別なこと”にしないこと。
朝の10分間だけピアノに触れる 宿題が終わったら気分転換に弾く 親が夕食を作っている間にBGM代わりに弾いてもらう
など、日常の流れの中に自然にピアノを取り入れてみましょう。短時間でも“毎日触れる”ことが大切であり、習慣になれば子どもも抵抗を感じなくなります。
4. コンサートや発表会を「イベント」として楽しむ
子どもは「何のために練習するのか」という“目的”があると、モチベーションを持ちやすくなります。その意味でも、発表会やコンクール、家族内コンサートなどの機会はとても効果的です。
ただし、ここでも大切なのは「成功させること」ではなく、「一緒に楽しむこと」。
発表会の前には「応援してるよ」「緊張してもいいんだよ」と声をかける 終わった後は「素敵だった!頑張ったね!」と成果を労う
というように、“結果”より“経験”を大事にする言葉かけが、子どもの自己肯定感を育ててくれます。
5. 親も「音楽を楽しむ仲間」になる
最後に、ピアノレッスンを楽しくする最大のコツは、親自身が音楽を楽しむことです。
一緒に弾いてみる 手拍子や歌でリズムをとる お気に入りのクラシック曲を一緒に聴く
といったように、親も音楽の世界に関心を持ち、子どもと“共有する時間”を持つことが、何よりのサポートになります。
子どもは、親の楽しそうな姿を見て、「音楽っていいな」と感じるようになります。そこには、“やらされる”練習ではなく、“やってみたい”という気持ちが生まれます。
おわりに
ピアノレッスンは、単に音楽の技術を習得するだけでなく、子どもの心や感性、努力する力を育てる大切な時間です。
その時間を、より豊かで楽しいものにするために、親の関わり方がとても重要になります。
「上手になること」よりも「好きになること」
「続けること」よりも「楽しむこと」
その視点を大切に、今日からぜひ、あたたかいまなざしでお子さんの音楽の歩みを見守ってみてください。